久しぶりに書きたくなったので
去年見切り発車をしてからブログの存在を忘れていました。
ブログ使ってまで書きたいことが無かったのも一因です。
僕は今年の初めから、「ホンシェルジュ 」というサイトで書評モドキをやっていました。
本の感想を適当に垂れ流すのは好きなのですが、しかしお金をもらってやっていることですから、中々自分が紹介したい本の紹介が書けないフラストレーションは溜まっていく一方でした。お金は貯まらないのに。
「ならブログでやれば良いのでは?」と思い立ったのがついさっき。とりあえずまた久しぶりに本とか映画とかアニメとか、自分の見たもの読んだものの備忘録をつける感じで、適当にやっていきたいと思います。
ド嬢の記事がはじめにあったし、とりあえずはフィリップ・K・ディックの『トータ
ル・リコール』が面白かったので書いておこうかと思います(読んだのは半年以上前ですが)。
- 作者: フィリップ・K・ディック,大森望,浅倉久志,深町眞理子
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2012/07/05
- メディア: 文庫
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ディックと言えばSF作家の超有名どころですが、僕は彼の著作を読んだことがありませんでした。というかSFというジャンルは大好きなのですが、あまり海外作家のSFって読んだことありません。ヴェルヌの作品を少し読んだことがあるくらい。仮にも作家を目指してるのに。そんな僕を見かねた友人がプレゼントしてくれた作品がこれです。
表題作はじめ、『マイノリティ・リポート』や『地球防衛軍』といった、映像化もなされているような名作を収めた短編集です。海外文学って読むのに凄く根気がいるのですが、短編集なのもあってこれはかなり読みやすい1冊でした。
例えば、ナボコフの『ロリータ』とかは死ぬ気で読み切った記憶があります。考えてみると、読むのに時間がかからなかった海外作家の長編作品なんてマキューアンの『贖罪』くらいしかない気もします。そもそも人に語れるほど海外作家の本読んでないですが。
『贖罪』の結末で感じるカタルシスは素晴らしいですよね。数百ページも使って、退屈なくらい丁寧に書いてきた家族間の関係と事件が、最後の数ページで、たった1行をもってして一気に結末(あえて解決とは言いません)まで押し上げられる凄まじさ。マキューアンの『贖罪』だけはぜひ前情報無しで読んでもらいたい大傑作です。僕の読んできた小説の中で、多分5本の指に入るであろう小説。
『贖罪』のようなデキの作品が書けたのなら、それだけで僕は未練なく死ぬことができると思います。それくらいに素晴らしくて、僕のお気に入りの作品。
閑話休題、『トータル・リコール』では「地球防衛軍」「訪問者」の2作はとても好みだったのですが、どちらにも共通するのが「人間が地上で生活できなくなっている」点。前者は戦争で、後者は放射能汚染でと理由に違いこそあるのですが、世紀末ものの、荒廃した地上と、清潔な地下シェルターの古臭い雰囲気が堪らなく好きでした。「訪問者」はどんでん返し的なオチまで最高で、とにかくひたすらにワクワクしながらページをめくって、久しぶりに、読書を純粋に楽しんでいた気がします。
どの話も非常に面白く読むことができる傑作短編集なのですが「結局自分はSFが好きというより、世紀末ものとかディストピアものといった、SFが好んで舞台とする設定が好きなだけなのでは?」と思わされた1冊でもあります。「吊るされた男」とかも好きですが、あれもSFでありながらサスペンス色強いですし……。